Students

研究室の院生・学生

ここで一緒に研究してくれている院生や学生たちは、 

のいずれかです。学部で卒業すれば学士(理学)、修士修了すれば修士(環境科学)、博士修了すれば博士(環境科学)になります。私達の研究に興味を持ってお出で下さるのを楽しみにしております。

博士課程

李 梅花 [LI Muifa](2016年10月 入学)

  • 予定テーマ:日本海海底堆積物中ダストの組成と量の推定に基づく古環境変動復元
  • コメント:香港から来てくれました.通称Alison.研究生としてじっくり勉強した上で、ダストをテーマに選びました.過去1000万年分の試料について、粘土とシルトに粒度分画して、それぞれについて鉱物・元素組成を見ていきます。時間のかかる作業ですが、頑張りましょう。

丸山 亜伊莉(2018年4月 進学)

  • 予定テーマ:砕屑物供給源変化の検出と後背地古環境の推定
  • コメント:卒論では理学部の沢田健先生のところで,植物化石を用いた白亜紀の大気中CO2濃度復元をやっていました。一転して修論では、「鉱物組成を用いた完新世における別府湾への陸源砕屑物の供給源及び運搬量の変動復元」ということで、大分川・大野川の現地調査に基づいて現在の別府湾への懸濁物供給量を計算したり、XRDプロファイルの解析にPARAFACを使うことで、鉱物組成に基づく砕屑物供給源変化をとらえるエレガントな方法を立ち上げました。D論では古気候の推定まできちんとやれるように仕事を組み立てたいですね。

修士課程

西條 竜碧(2021年4月 入学)

  • 予定テーマ:日本海北部堆積物中の砕屑物組成を用いた過去の冬モンスーン変動の復元
  • コメント:卒論では、日本海北部IODP U1422地点の堆積物に含まれる砂サイズ砕屑物を定量することで、流氷によるIRD供給量の変動をオービタルスケールで過去70万年間分調べました。修士課程では、泥サイズ粒子の鉱物組成も調べて、冬モンスーン強度の変動が堆積物の組成と関係するのかどうかが分かるようにできたら良いですね。

学部生

中津 裕也(2021年4月 分属)

  • 予定テーマ:厚岸湾堆積物組成に対する複数の砕屑物供給源寄与率の定量
  • コメント:海洋堆積物に埋没する有機炭素のうち、後背地の堆積岩から供給されてそのまま堆積するものがどの程度あるのか確かめられないか、という動機から始まる研究です。まずは堆積物鉱物組成が、きちんと周囲の地質から供給される鉱物の組み合わせで説明できるのか、定量的に評価してみましょう。

研究生


修了・卒業生

芦 松 [LU Song](2019年9月 博士課程修了)

  • 博論タイトル:Application of TOT and BPCA methods to the reconstruction of past biomass burning from sediment archives
    熱光透過法およびベンゼンポリカルボン酸法を応用した堆積物記録からの過去のバイオマス燃焼復元
  • コメント:はるばるここまで良く来てくれました.研究生としての1年間では良く勉強し,修士課程では日本海堆積物から長い時間スケールで,バイオマス燃焼史を復元して植生変化と比較しました.博士研究のテーマも自分で決めて,野外調査や研究船航海でも良く働いてくれました.ベンゼンポリカルボン酸組成から燃焼温度を復元する方法は,まだまだ沢山の応用先がありそうで,これからが楽しみです.

平井 啓介(2017年3月 学部卒業)

  • 卒論タイトル:大雪山地域高層湿原泥炭に含まれる風成塵の鉱物組成
  • コメント:山が好きなので、フィールドも山にしました.9月に泥炭コア採取してから、サンプル前処理・XRD分析完了まで3ヶ月という集中的な取り組みでしたが、大成功でした。ダストもちゃんと検出できましたし、私もフィールドの範囲が広がりました.共同研究者たちが年代を出してきたら、西南日本で復元されたダストフラックスのデータとちゃんと比べるのが楽しみです。

中井淑恵(2016年3月 修士課程修了)

  • 修論タイトル:過去1万5千年間における水月湖湖底堆積物への元素状炭素供給量の変動要因
  • コメント:完新世における湖底堆積物中粒度別黒色炭素含有量の変動に対する気候および人間活動の影響評価,というのが学部4年で配属されてきたときの希望テーマでした.卒論で,礼文島堆積物中の超微粒炭含有量測定法を使えるようにしてその過去3000年間における変動を調べたら,どうやら中央〜北アジアの火災頻度を検出できるらしいことが分かりました.それはヒトの所為か,それとも気候変動か? 修論では鳥浜遺跡を後背地に持つ水月湖の堆積物を検討し,どちらかというと集水域の植生変化が効いているようだ,ということでした.

王 可 [WANG Ke](2015年3月 博士課程修了)

  • 博論タイトル:Provenance and depositional variability in response to climate and sea level changes in the subaqueous Yangtze delta and the inner shelf of the East China Sea during the middle and late Holocene
  • コメント:南京から東京を経て(北京じゃなくて)札幌に来てくれました.精力的なフィールドワーク,手早い仕事,高い対人交渉力と,多才さを発揮してくれましたが,忙しすぎて一度も北海道の涼しい夏を過ごせず,気の毒でした.夏の降水のもたらす大量の河川流出とそれに伴う洪水を主なテーマに,堆積プロセスと東アジアモンスーンが織り成す複雑なシステムの完新世における変動を,揚子江及びその河口・沿岸域堆積物記録から復元する仕事は,D論そのものだけでなく,それに関わった他の研究者や学生にも大きく役立っています.

野間恵理子(2013年3月 修士課程修了)

  • 修論タイトル:ODP Site 1237堆積物から見た後期漸新世以降の陸源砕屑物供給パターンおよび海洋環境の変遷 
  • コメント:アンデスのテクトニクスと全球気候変動と太平洋の海洋環境との相互関係はどのようなものだったのか? 数%しか入っていない陸源砕屑物を石灰質軟泥から抽出して鉱物組成を検討してみたら,それは後背地アンデス気候の連続記録となっているらしいことが判明.スメクタイト半値幅が使える,と分かったときは嬉しかった.石灰質軟泥のほのかな色の変化が僅かな砕屑物含有量の違いのせいだと分かったり,バルクの炭酸塩炭素・酸素同位体比がG.bulloidesの同位体比と大体等価な値として使えることが分かったり,テクニカルにも沢山のことを学ぶことになった. 

藤井大輝(2012年3月 学部卒業)

  • 卒論テーマ:日本海北部堆積物中に含まれる(かもしれない)微粒炭含有量の時代変化 
  • コメント:この仕事は完了できなかったけれども,一緒に勉強したことは私にとっても次への一歩を踏み出すための重要な経験でした. 

多田圭吾(2009年3月 修士課程修了)

  • 修論タイトル:二枚貝化石を用いた最終氷期以降の日本海表層水温・酸素同位体比の季節変動復元 
  • コメント:私が出会う3人めの多田さん。LGM(最終氷期最寒期)の二枚貝化石を発見できるかどうかに賭けた研究、で終わらせなかった。それでもホタテガイがLGMの年代だったときは嬉しかった。夏と冬の水温が「独立に」復元できるところがこの手法の良さで、味わい深い結果が得られたと思う。 

太田晴美(2007年3月 修士課程修了)

  • 修論タイトル:浮遊性有孔虫一個体ずつの重量および酸素・炭素同位体比に基づく殻溶解・二次石灰化量推定の精密化
  • コメント:小さな(重さ数10μg)の有孔虫の殻を一個体ずつ重量と酸素・炭素同位体比を測って、海底に降ってきた炭酸カルシウムが元からどれだけ溶けたかを定量する手段を確立した。殻重量分布そのものが溶解程度の半定量的指標になることの発見、従来の殻重量指標のもつ誰も気づいていなかった問題点の認識など面白い点が多かった。苦労は多かったが、考え尽くすことの素晴らしさを再認識させてくれた研究。 

島村道代(2006年3月 博士課程修了)

  • 博論タイトル:Control factors of coral skeletal stable isotopic compositions and the application for monsoon proxies 
  • コメント:2005年3月で本学を退官された大場忠道(現名誉教授)の指導の下に進めてきた研究。修士課程のときから中国・海南島のサンゴを研究対象として、1年間の機器観測結果とサンゴ骨格の酸素同位体比に残る古海洋記録との関連を解析した。大雨によって海洋が極端に低塩分になるとサンゴが成長を止める、という事実を突き止めた。私が本気で酸素同位体比を使った古水文循環の復元をしようと考えるようになったきっかけの研究。 

桑山豊(2006年3月 修士課程修了)

  • 修論タイトル:主要元素から見た札幌におけるエアロゾルの無機化学組成と輸送量の季節変動要因 
  • コメント:私たちが初めてハイボリウムサンプラーを用いた大気中ダストの観測を行った研究。2年間根気良くサンプルとデータを集め、札幌においては、大気から落ちてくる鉱物粒子の量がローカルな土壌が舞い上がる高さで主に決まっていることをはっきりさせた。 

多田章人(2005年4月 学部卒業)

  • 卒論タイトル:河川から海洋へ流出する懸濁物主要元素組成の制御要因 
  • コメント:私たちが初めて現世河川の観測を行った研究。十勝川の無機懸濁物の運搬量や組成が河川水流出量と良く相関することを示した。この結果がきっかけとなって、私自身で台風直後の十勝川に行って、洪水時の懸濁物運搬量を見積もる研究を行うこととなった。